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今日は 2020年5月16日です。
◆営業再開に向けて(18)〜当面の入館料金設定について
休館から営業再開する時、多くの施設では感染拡大防止対策として、館内の一部エリアの使用休止やサービスの縮小を考えていると思います。
おふろ&サウナサミット5.14の際のアンケートでも、参加した施設の8割が何らかの縮小の予定と回答していました。
具体的な縮小営業のやり方は業界全体としてはまだ定まっていませんが、コロナショックで地域によっては自粛ムードが強く、不安を抱える人も多い中で、いきなり通常営業&販促バリバリだと「大丈夫なの?」と懸念され、批判の対象になる可能性もありますから、やはり当面は対策を続ける必要があると思われます。
そのような縮小営業状態の場合、正規の入館料をいただいてもいいのだろうか?と考えているかも知れません。
実際、緊急事態宣言下では「浴場のみの営業につき、地域の銭湯料金に合わせる」とした温浴施設もありました。
いつも「温浴施設は固定的支出が大きい」ということを申し上げていますが、部門別に分解した時、固定費の割合が最も大きいのは入浴部門なのです。
飲食やボディケア、物販といった付帯部門はだいたい収入と支出が連動しており、仕入れ原価などの支出は変動費です。縮小や休止をすれば支払い額もそれに応じて小さくなります。
付帯部門を縮小や休止した状態で営業する場合は、収入のほとんどが入館料となります。その入館料を大幅に値下げした状態にすると、仮に普段の来館客数が戻ってきても利益が非常に薄いか、場合によっては赤字になってしまうはずです。客数が本来のペースに戻らなければ、大赤字になりかねません。
「入館料の割引で集客して、付帯部門で稼ぐ」という、普段よく見られる温浴施設の経営スタイルはまったく通用しないのです。
さらに言うと、普段よりも安い入館料に反応して客数が増えてしまった場合、意図せず3密の環境をつくり出してしまうことにもなりかねません。
ここは割引したくなる気持ちを抑えて、当面はできるだけ正規料金で営業する方が良いだろうと考えています。
平常時は「館内にお客さまが少ないのは寂しい」「施設を遊ばせていたら商売にならない」といった客数志向の感覚で経営できたかも知れませんが、これからは客数減と付帯部門縮小の中でも収支のバランスをとり直し、事業を存続させる方法を急いで探る必要があるのです。
(望月)