営業再開に向けて(13)〜ゾーン別対策

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今日は 2020年5月9日です。

◆営業再開に向けて(13)〜ゾーン別対策
 前回、「少し明るい材料も見えてきた」「復活に向けて踏み出していけそうな雰囲気」と書きましたが、このまま早期終息して通常営業に戻れると考えるのはあくまでも希望的観測に過ぎません。

過去のインフルエンザ系パンデミックはいずれも終息まで2年以上の期間を要しており、感染拡大ペースが落ちてきたと思ったら第2波とか、経済活動が活発になってきたら再び感染拡大、となることも十分に考えられます。

非常時の危機管理は、「悲観的に準備し楽観的に対処する」「大きく構えて小さく収める」「常に代替案を持つ」というスタンスが大切であり、平常時のように希望的観測に拠って経営判断することはまだ避けなければなりません。

前回感染拡大防止対策の構築が難しいテーマであることを書きましたが、その考え方を温浴施設のゾーン別に整理してみたいと思います。

・入館前
 感染拡大を防止するためには、まず「施設内にウイルスを持ち込まない」対策が必要です。今年1月〜3月くらいまで言われていた海外からの渡航者に対する水際作戦と同じことです。そのためには、咳や発熱などの自覚症状のある人には利用を控えてもらうことが重要であり、ホームページや玄関にそのことをしっかり表示しておく必要があります。
マスク着用や手指消毒も入館前に玄関で実施。体温チェックをする場合もスタッフ配置が必要になりますが、できれば玄関で実施したいところです。
入館前対策によって館内での感染拡大のリスクが大きく左右されることになりますし、お客さまから見た安心感にもつながります。裏側の従業員通用口も同様ですのでお忘れなく。

・下足ロッカー
 営業中のロッカー扉や鍵は複数の人が繰り返し触れる場所ですから、接触感染防止のため定期的な除菌清掃が必要です。また入館と退館の人が行き交うため、狭い空間で密集にならないよう、「ロッカー室が混雑している時はここで順番をお待ちください」といった停止線を引くことも有効でしょう。

・フロント
 小売店のレジに相当する場所です。順番待ち行列が頻発する場合は間隔を空ける指示ラインがあった方が良いでしょう。券売機がある場合は定期的な除菌清掃。キーバンドも都度除菌。金銭やカード、キーバンドなどの授受はトレーを介して行う。非接触系決済を利用したい人が増えると思われますので、迷っていたマルチ決済化は導入を急ぎましょう。
飛沫感染防止のためスタッフはマスク着用。透明ビニールカーテンについても、食品スーパーやコンビニなどが当然のように実施している状況であればそれに倣うべきかと思います。

・脱衣室
 下足同様にロッカーの扉と鍵周りは定期的除菌清掃の対象です。また匂い、埃、髪の毛などで衛生的な不安感を与えがちな場所ですので、これまで以上に清掃レベルを上げる必要があります。

・浴室
 浴室には新しい利用心得が必要になると考えています。入浴時は「まず洗体」と表示すべきでしょう。いままでかけ湯すれば良しとされることが多かったのですが、手や顔が接触感染の原因になりやすいということを考えると洗い場でソープを使ってしっかり洗ってもらった方が安心です。
また入浴中はマスクが着用できないので、おしゃべりを控え、咳やくしゃみをしたい時はタオルで口を覆ってもらうことも新しいマナーとして伝えていく必要があると思います。
スタッフが大声でしゃべったり、人が密集するイベントは当面見合わせた方が良いでしょう。ロウリュをやるならサイレント式で。
すでに一部施設ではサウナ室内や休憩椅子の着座間隔を広めに空ける対策がとられていますが、これも安心感という意味ではやった方が良いでしょう。

・食事処
 一般的な飲食店の対策レベルに合わせるという考え方が基本になります。スタッフのマスク着用、卓上セット類の衛生対策、客席間隔などについて配慮が必要になってきます。

・休憩スペース
 除菌清掃の徹底、換気の強化、お客さま同士の間隔を空ける。これらが難しいアイテムやスペースについては、いったん休止して様子を見る方が無難でしょう。

・その他付帯部門
 これもその業種ごとの世間一般の対策に合わせる必要があり、状況によっては一部営業休止とするのはやむを得ないでしょう。

・館内全体
 基本は館内全体でマスク着用、除菌清掃の徹底、換気の強化です。いまは気候が良いので冷暖房はあまり必要ない時期ですが、夏場になればクーラーが効いてないのはキツイですから、扇風機や冷風機は今から確保しておいた方が良さそうです。

・スタッフ
 一般的に言われていることですが、各自の健康管理、体調がおかしい時は出勤しない、出勤時検温等体調チェック、マスク着用、手洗い、うがい、手指消毒。高温高湿の浴室ではマスク着用は呼吸が苦しいので、フェイスシールドなどの代替案も必要となります。そして新しい営業方針や館内マナーについて、必要に応じてお客さまにきちんと説明できるようになっておくこと。

ここに書いたようなことは、施設の個別事情によってはできることできないことがあると思います。また長期戦になるとしたら、経営的な負担も考慮しなければ続けることはできません。

しかし、レジオネラ菌や温泉ガスもそうですが、安全安心のないところで温浴施設経営は成り立ちません。ゼロリスクは不可能でも、お客さまに「ここまでやってるならこの施設は安心」と感じていただけるレベルを施設ごとに見い出すしかないのです。

(望月)

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