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今日は 2020年4月25日です。
◆無常と温浴ビジネス
昨日、全国にコンパクトホテル26店舗を展開する株式会社ファーストキャビンが破産を申請したというニュースが流れました。
ファーストキャビンはカプセルホテルとビジネスホテルの中間を行くような業態で、旅館業法上では簡易宿所に区分されながら飛行機のファーストクラスのイメージを取り入れたラグジュアリー感があり、独自性の高いコンセプト。そのメリハリのつけ方がとても勉強になるので、私も地方出張の際に何度かお世話になっていました。
築地や京橋にも店舗があったためか、前社長の来海氏とは会社近くの飲み屋で一緒になったことがあり、名刺交換してご挨拶を交わしていましたので、破産申請のニュースにはショックを受けました。
ビジネスホテルの安売り攻勢や都市部宿泊施設の供給過剰があって苦戦(2期連続赤字)していたところにインバウンドの低迷、そしてコロナショックがとどめを刺したというところでしょうか。
同社の過去の決算書を見ると流動比率は高く、売上高に比べて固定負債は低く抑えられており、決して無茶な経営をしていたわけではないようです。温浴施設も事情は同じですが、急激な状況変化に対応しにくいのが装置産業型ビジネスの苦しいところなのです。
これから温浴業界が受けるであろうダメージを想像するのは辛いことです。
しかし、振り返ってみると、ずっと平穏な日常が続いたことなど過去にもないのです。バブル崩壊やリーマンショックなどの経済変動もそうですが、日本は世界でも有数の災害大国。地震、台風、津波、噴火、洪水、熱波に寒波といった災害が毎年のように各地に襲ってきて、コツコツ築き上げた日常はあっという間に崩れ去る。これからもその繰り返しなのです。
非日常に学び、日常は学びを生かして備える時だとすれば、やはりこれからの温浴ビジネスは固定支出が多く腰が重たい事業構造に向かってはならない、ということだと思います。
この数年の温浴業界は、人材確保難もあって、いっそう省人化しつつ、それを設備投資でなんとかしようという方向に傾いていましたが、このような状況になると設備投資はすべて固定支出となって経営を圧迫してしまいます。
装置産業からサービス業へ、という考え方は自分自身が20年以上前から言っていたのですが、人材確保難と技術の進歩に押されて、いつしか言いづらくなっていました。
主役はあくまでも人で、施設は舞台に過ぎない。それが原則であるということをあらためて感じています。
(望月)