営業再開に向けて(5)~いま営業継続している施設は

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今日は 2020年4月23日です。

◆営業再開に向けて(5)
 緊急事態宣言が全国に拡がり、都道府県ごとに休業自粛要請の対象業種が発表されていくことで、これまで営業を続けてきていた地方の温浴施設でも次々と臨時休館を発表しています。

東京都が先鞭をつける形で「基本的に休止を要請する施設」として、スーパー銭湯、岩盤浴、サウナという呼称が挙げられました。

その一方で、「社会生活を維持するうえで必要な施設」として、物価統制令の対象となる公衆浴場(銭湯)は休業要請対象外とされています。

今さら物価統制令という戦時の社会的秩序を維持するための古めかしい法律が持ち出されて線引きが行われたことには、少なからず驚きを禁じ得ませんでした。

銭湯でなくてもそれに近い価格水準で営業する生活密着型の温浴施設は多くありますし、地域によっては銭湯がなくなってしまい、温浴施設だけが残っているところもあります。

社会生活を維持するうえで必要かどうか、あるいは感染拡大のリスクがどこまであるのかは、個別地域の事情や施設の環境によるものであり、物価統制令云々とは何の関係もないことです。

温浴施設は面積と収容人数のバランスが施設によってまちまちであり、さらに複合業種のバリエーションも様々なので、一律の判断は困難です。

私は、温浴施設は生活衛生と健康維持のために必要な存在なので、人と人の距離が接近しすぎないような配慮を行い、さらに感染リスクが高いとされるカラオケやスポーツジムなどのエリアを休止することで、営業は継続可能と考えていました。

休業要請の線引きに科学的な根拠も法的な強制力もなく、休業補償も未定あるいはあってもわずかな金額ということであれば、休館することが経営的に必ずしも最善とはどうしても思えません。

お上からのお達しや世間のムードに従うというのは受け身の判断姿勢ですが、休館しても支払わなければならない固定支出が財務バランスを崩し、事業存続が危うくなる企業が続出するでしょう。せっかく定着していたリピート習慣が途絶え、営業再開しても本来の客足に戻るまでには長い時間がかかってしまう可能性もあります。

そのリスクは結局個別の企業が背負わなければならないのですから、強制力のないお達しや世間のムードだけで判断はできないのです。

いま多くの施設が「5月6日までの臨時休館」としていますが、ここで考えなければならないのは、もし緊急事態宣言が延長されたり、世間の強い自粛ムードがさらに続くようだったらどうするのか?ということです。

受け身の姿勢のままだったらさらに休館継続ということになりますが、判断を人任せにして、それがいつまでも続いてしまったら本当に廃業の日を迎えかねません。

 一方で、悩み抜いた末、いまも果敢に営業を継続している施設が各地にあります。そういう施設ではどんな状況になっているかというと、
・平常時のような来館ペースはなく、普段のリピート客の来館は大幅に減少
・一方で他店からの流入や、どうしても入浴が必要という見慣れないお客さまが増えている
・営業継続していることへの感謝の声をたくさんいただく
・営業自粛していないことへの批判の声がある
・感染リスクへの不安の声がある
・営業エリアの縮小や営業時間の短縮で入浴中心の高効率運営となるので、収支バランスは思ったよりも悪くない
といったことのようです。

自粛ムードが解けて平常時のリピーターが戻ってきた時には、今来ているお客さまと合わさって以前よりも客数が増えることになるのかも知れません。

マイナス面としては、自粛しないのは不謹慎という批判や、感染に対する不安の声がありますが、「どうしても当店の営業を必要としている方々のためにやっています。ご心配な方は外出をお控えください。」と答えればよいと思います。

世論も賛否両論分かれている問題であり、誰もが未体験で正解を知らないのですから、受け身で流されたままでいるよりも何とかしようと足掻く方が打開できる可能性が拡がるのではないかと感じています。

いま世間は感染の不安や今後の心配におののきながら、動きを止めています。しかし、臨時休館している温浴施設は止まっているだけではいけません。

営業再開日を能動的に判断し、再スタートダッシュを実現するための方策を練る。そして最悪営業再開が難しい状況が続く場合に、施設営業できなくても事業を継続する方法を構築する。いま考えなければならないこと、やらなければならないことが山のようにあるのです。

(望月)

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