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今日は 2020年4月18日です。
◆営業再開に向けて(3)
この新コロ騒動で大きく変わることのひとつが「衛生観念」ということで、除菌、換気、キャッシュレス決済、ソーシャルディスタンシング、そして濾過循環系統のメンテナンスなどについて書いてきましたが、「手入れが行き届いており衛生的」と感じるのは、安全衛生的な機能面だけではありません。
「人は見た目で9割判断する」と言いますが、目に見えないウイルスへの不安だからこそ、見た目の清潔感が重要です。館内が新築時のようにピカピカになっていれば、お客さまは安心してくれるでしょう。
その意味では築年数が経過している施設ほどやることがたくさんあって大変です。
私が古い温浴施設を見ていてよく気になる箇所に、浴室のスケール汚れと館内のテープ跡があります。
浴室のスケール汚れというのは、大抵の浴室で見かける白っぽい汚れです。水に含まれるカルシウム分が固まったものなので、水回りや床面の近くによく見られます。
洗っても落ちないようなものですから、スケールがついているだけで不潔ということではないのですが、目立つのでイメージが良くありません。
黒っぽい石材を使っているところやサッシ、ガラス面などは特に気になります。初期の汚れなら普通に洗剤で洗ったりスポンジやブラシで擦れば落とせるのですが、時間が経って汚れが蓄積してくるとなかなか頑固です。
炭酸カルシウム系の汚れは、基本的に酸性の薬剤で溶かすことができます。しかし、強い酸性の薬剤を使うと、金属や石材、木材にも影響を与えてしまうおそれがあるため、むやみに強酸性薬剤を使うとかえって下地まで傷めて見た目がもっと悪くなってしまうことがあります(ガラスやプラスチックは酸に強い)。
カランのメッキがまだら模様になってしまっている施設を時折見かけますが、あれは強酸性の薬剤を雑に使ったことで、金属メッキが変質してしまう現象です。
カランやサッシ、磨いた石などに強酸性薬剤を使うのは避けたいところです。
ではどうするかというと、弱い酸で柔らかくしてから物理的に擦り取ったり削り取る方法が一般的です。
弱い酸というのは、クエン酸。市販されていて家庭にも普通にあるものです。これを塗ったりスプレーしてしばらく放置し、固着したカルシウムが緩んだところで、道具を使って除去していきます。
道具というのは、スクレーパーやスチールウール、金属たわし、ナイロンたわし、クレンザーなどですが、カルシウムよりも固いもので、かつ下地を傷めないものを選ぶ必要があります。
以前、満天の湯の久下沼支配人から浴槽の縁などの石材のスケール落としに「砥石」を使っていると聞いて感心したことがあります。広い面積に付着しているスケールは清掃が大変ですが、平滑な砥石で擦れば下地を傷つけずに作業も楽ですから、おススメの方法です。
https://www.facebook.com/JapanOfuroGuard/posts/1461926270635824
研磨は道具選びを間違うと下地を傷だらけにしてしまうことがありますので、注意が必要です。
また、見た目は同じような白い汚れなのに、クエン酸や塩酸(サンポールなど)がちっとも効かない頑固な汚れがあります。「シリカスケール」とか「ケイ酸カルシウム」と呼ばれるもので、酸が効かないのです。
シリカ(ケイ酸カルシウム)を効果的に除去できる薬剤はフッ化水素酸ですが、劇物なので専門業者でないと扱うことができません。浴場市場でも今のところ取り扱っておりません。
市販されているものですと、「シミトップエコ」や茂木和哉シリーズの「青鬼」があります。これも金属やガラス、大理石、タイルなどを腐食する可能性がありますので、目立たない箇所で試してみてから使ってください。※鏡には絶対に使用しないでください。
https://www.proshopaiai.jp/shopdetail/000000001271/
https://www.kireipro.jp/?pid=142432842
いずれにしても、白いスケール汚れは一筋縄ではいきません。
次にセロテープや両面テープを剥がした跡。糊の成分が残り、そこに埃や汚れがついて目立つようになります。これは浴室の汚れよりもずっと簡単に落とせるものですが、小さなことなので、意外と見逃してしまう施設が多いのです。
そう言われてみればウチの施設も…と思い当たりませんか?
テープ跡を除去するには、やはり汚れを緩ませるのが効果的です。スケールと同様にクエン酸や酢酸を使うか、ドライヤーで温める方法があります。
もっと強力なのは有機溶剤、いわゆるシンナーですが、シンナーは下地や塗料が溶けてしまったりすることがありますので、注意が必要です。シンナーの代わりに灯油だと効きは弱いですが、糊の成分を柔らかくする効果はあります。
以上のような手段で汚れを緩ませたら、テープ跡の上からガムテープを何度も貼ったり剥がしたりを繰り返すと大抵のテープ跡がキレイに落とせるはずです。
テープ跡そのものを落とすのは難しくないのですが、壁紙などの下地を傷めないようにするのが難しいので、慎重に作業してください。
スケール汚れやテープ跡は手間がかかるので、日常清掃ではやり切れず、いつの間にか長期放置になりやすいところです。この機会にキレイにしてしまいましょう。
(望月)