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今日は 2020年3月14日です。
◆損得よりも
3日前のメルマガ1203号で、「危機の時こそ、底力が試されている」ということで、「東日本大震災の後、宿泊事業がストップする中で突然通販事業をはじめた峩々温泉」と書きました。
何のことだかわからない方もいらっしゃると思いますので簡単に説明しますと、大震災後の余震も収まらないなか、宮城県の蔵王にある峩々温泉は停電と風評で事業は完全にストップ。
六代目竹内社長が当時綴ったブログの文を転載します。
──この度の震災により、峩々温泉は休館を余儀なくされ良質の温泉水は川に流れているだけです。
これほど体に良い温泉が、ただ湧いては流れ湧いては流れ。
150年前に発見された時から休まず自噴しては、旅人を癒してきました。
自信を持って管理しております温泉を今はただ捨てているだけなのです。
湯守といたしましたら、こんなに辛い事はございません。
「どなた様もいち湯治人」竹内家の家訓を考え抜いた末に、思い付きましたのは温泉水の販売です。
どうかこのお湯を買って下さい。
少しでも無駄なく、この蔵王からの恵みを皆様の元へお届けしたいと思っております。
そして、被災地にも必ずこの温泉を届けたいと考えております。──
こうして、チャリティーBOXという通販事業がスタートしました。
峩々温泉の温泉水や地元食材などを詰め合わせた宅急便。収益の20%は被災地への義援金にするという呼び掛けに、たくさんの人が反応しました。
私もチャリティーBOXを購入したひとりですが、その時にBOXの中身はどうでも構わなかったのです。
実際は価格に見合った良いものが詰められていましたが、購入した動機はお買い得だからではなく、頑張っている竹内社長と峩々温泉を少しでも応援したかったからに過ぎません。他の購入者もきっとそうだったでしょう。
代々受け継いできた事業を守り、従業員と地域を守ろうとする竹内社長の気持ちに反応したのです。そのように思ってくれる人たちがたくさんいたから、峩々温泉は震災の危機を乗り越えることができました。
冒頭に書いた「危機の時こそ、底力が試されている」というのは、2つの意味があります。
ひとつは、刻々と変化する危機的状況にも萎縮したり諦めたりすることなく、素早く最善手を打ち続ける力。危機対応力です。
もうひとつは日頃からどれだけ自社を応援してくれる関係を構築してきたか、です。
お客さま、社員、取引先、地域、業界…周りのすべてから愛されていたら、危機には必ずみんなが応援してくれることでしょう。
目先の損得よりも、これまでの事業活動を通じて、どれだけの敵あるいは味方を作ってきたのかということが問われるのです。危機にはそこが試されていることに気づかされます。
(望月)