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今日は 2020年3月10日です。
◆閉館2時間前
よく聞かれることに、「夜、〇時頃になると急に在館者が減ってしまう。何か集客アップの対策はないか」というご質問があります。
〇時というのは施設によってそれぞれですが、閉館時間が24時だったら22時頃、22時閉館だったら20時頃、つまり閉館時間のだいたい2時間前のことです。
その質問に対しては「強いて言えば『夜割』があります。しかし、〇時の集客を増やしたいなら、閉館時間をあと1時間伸ばすのが一番有効です。」とお返事しています。
例えばある人の自宅から15分圏くらいの距離に温浴施設があって、夜「お風呂でも行こうかな」と思いついたとします。
時計の針は20時頃。これから出かける支度をして、クルマで15分かかるとすると、20時半。そこからゆっくり温浴を堪能するともう閉館時間になってしまい、蛍の光に追い立てられるように帰らなければならないと想像すると、「やっぱり今日はやめておくか…」と諦めてしまうのです。
これが閉館時間の2時間くらい前から急に客足が鈍る理由です。広域商圏型や滞留時間の長い業態ならなおさらその傾向は強くなります。だから、〇時の客数を増やしたいなら、〇時から閉館まで3時間以上ある状態にするのが最も効果的なのです。
時間帯別客数の問題だけでなく、夜の18時から21時くらいのディナータイムの喫食率にも影響します。例えば22時閉館だと、「先に食事して、ひと休みしてからお風呂に入って…」というプランが難しくなるので、夜間の飲食売上も伸びなくなるのです。
特に地方の温浴施設では、「このあたりは夜はお客さん少ないから」と閉館時間を早めてしまう傾向があるのですが、時間帯別の営業効率を追求することが、全体の売上を大きく落とす要因になっているのかも知れません。
さらに言えば、温浴施設には装置産業的ビジネスという側面があります。
昨今のように営業自粛の可能性を考えさせられるとあらためて感じることですが、温浴施設は営業をしていなくても、固定資産の償却(借入返済)、地代家賃、固定資産税、リース料、各種契約の基本料金などが大きくのしかかっており、これらを支払っていくためには、持っている施設を最大限に稼働させて多く稼ぐことが必要です。
時間帯別収支が赤字になっていない限りは、営業時間をできるだけ長くすることが基本であり、その観点だけで言えば年中無休24時間営業が最も良いということなのです。
現実には人手の確保や施設のメンテナンスがありますのでそう簡単な話ではありませんが、効率が悪いからと言って営業時間を短縮したり、休館日を多くしても収支の改善には寄与しないどころか、逆効果になってしまうこともあるということは念頭に置いておく必要があります。
(望月)