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今日は 2020年2月27日です。
◆温浴と免疫力
昨日は政府から今後2週間程度の大規模イベント自粛要請があり、それを受けて温浴施設でも予定していた館内イベントの開催を見合わせる動きが始まりました。
一方、個人ができる自衛策としてにわかに「免疫力」が脚光を浴びています。
ウイルスに感染しても、人によっては無症状であったり、風邪程度の軽症で治癒する人もいる一方で、重症化したり死に至ることもある。その違いは免疫力や基礎体力にあり、高齢者や持病があって体力の落ちている人などはリスクが高いということです。
新型ウイルス感染に対してはまだ明確な治療法がなく(風邪に対しても同様ですが)、病院に行っても結局対症療法でしのぎながら自然治癒を待つだけなので、いたずらに不安感を煽られた人が病院に殺到すると医療体制が崩壊してしまうため自重して欲しい、という呼びかけすらされています。
そこで免疫力を高めて自衛することが大切、ということになり、免疫力を高めるための方法がさかんに紹介されています。以下のような記事です。
https://hc.nikkan-gendai.com/articles/269383
免疫力には個人差があり、また同一人物でもその時の体調によって免疫力が上がったり下がったりすることには、経験的にも異論を唱える人はいないと思うのですが、突っ込んだ話になってくると、議論が持ち上がってきます。
例えば以下のような記事です。
https://withnews.jp/article/f0171013002qq000000000000000W05x10701qq000015981A
「そんなに単純じゃない」「まだ科学的なエビデンスに乏しい」といった指摘なのですが、扇動好きな人たちが「体温を上げると免疫力アップはウソだった!」といった論調で対立を煽るものですから、免疫力アップそのものについて懐疑的になってしまう人も少なくないようです。
前述の「免疫力を高めるための方法」の話に戻りますが、記事では、
一般的に、免疫力をアップするには――
(1)腸内の善玉菌を優位にして腸を元気にする
(2)カラダの代謝を上げ、体を冷やさない
(3)ストレスをためずに自律神経にメリハリをつける
と書いています。このくらいの表現であれば、特に文句をつける人もいないでしょう。
しかし、「体温が1度低下すると免疫力30%ダウン」というように数字が入ってくると、「どうやって測定するのか」「どの論文か」というように異論が噴出します。
温浴による加温は、
(1)善玉菌の活動が活発になる温度帯となり腸内環境が改善
(2)発汗や血流促進によって代謝が向上、冷えが改善
(3)温度差刺激や適温によるリラックス効果、安眠促進効果で自律神経失調が改善
ということで、まさに「免疫力を高めるための方法」そのものだと思っています。
しかし、そのことをアピールしようとするあまり、うかつに出典がよくわからない記事から引用したり、踏み込み過ぎた表現や数字を強調し過ぎると、懐疑派との論争になってしまい、せっかく多くの人に温浴で元気になってもらえる機会を逆に減らしてしまうことにもなりかねません。
しっかりとしたエビデンスが揃っていないのが歯痒いところですが、免疫力アップは温浴施設の重要な役割です。
縮小や自粛ばかりでなく、表現方法に気をつけながらも、いまこそ温浴効果を積極的にアピールして欲しいと思います。
(望月)