非常時経営モード

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今日は 2020年2月25日です。

◆非常時経営モード
 日頃はプラス発想を心掛け、あまりネガティブな方向に考えが行かないように意識しています。

悪いイメージを心に抱えるのはストレスですし、クヨクヨ考えているだけで結局実行しなければ何も起きません。前向きに楽観的に、良いイメージを思い描くことが実行力を高めます。

空振りや凡打を怖がってバットを振らなければ、結局見逃し三振になるだけですから、とにかくバットを振るべきなのです。

しかし、これは平常時の話。危機管理について考える時は自分の実行力の問題ではないので、楽観的というわけにはいきません。悲観的に考え、あらゆる悪い事態を想定して備える必要があります。

新型コロナウイルス問題は、現時点で分かっている危険度(重症化や死亡リスク)からすると、世の中はちょっと騒ぎ過ぎという印象も受けますが、新型でまだ正体がわからないウイルスですから仕方ないでしょう。

それよりも、この騒動によって経営的なダメージを受ける可能性については、しっかり考えておく必要があります。

(1)これからの行方
 まず、これからの新型コロナウイルス問題の行方ですが、国内で日に日に感染者が出た地域と人数が増えており、もはや感染経路も捕捉し切れない状況となってきました。

先週テルマエJAPANが開催された幕張メッセHCJ2020の集客は初日が昨年比69%、日を追うごとに客足が落ち4日目の最終日は56%。会期全体で4割減でした。会場がお台場の東京ビッグサイトから幕張に移動したことも多少影響しているかも知れませんが、日に日に減っているのはそれだけ外出を控えたり人混みを避ける動きが強くなってきているということです。

新薬や治療法が確立するにはまだ時間がかかるでしょうし、こうなると季節が変わってウイルスの活動が自然に終息するのを待つしかない感じになってきましたが、気になるのは熱帯性気候であるシンガポールやマレーシアでも感染拡大していること。気温が高い地域でも感染力があるとすると、暖かくなれば終わると考えるのは希望的観測に過ぎないかも知れません。

日本国内でこのまま感染件数と警戒感の拡大が継続していくと、すでに起きていることですが、
・さらなる外出控え
・各種イベントの開催中止
・人が集まる場所は敬遠される
・在宅勤務を選択する企業が増える
といった動きが強まり経済活動は急ブレーキ、元々消費税増税などで景気が悪化しているところへ、さらに深刻な打撃となることが避けられません。

いずれ、日本への渡航制限をもっと厳しくする国が増え、飛行機も飛ばないとなれば、東京オリンピックは開催したくてもできなくなります。もはやそうなる可能性の方が大きくなってきたと感じます。

オリンピック中止だけでなく、中国のように都市封鎖や外出禁止といったこともないとは言えません。テレワークができる職種はいいのですが、そうでない事業所では操業休止や物流のストップといったことも考えられます。

もしこのまま問題が大きくなっていくとすると、温浴施設がまず考えなければならないのは、売上の急激な減少です。すでに地域によって1〜2割の減少傾向は見られるようですが、3割減、半減といった期間が続くことになるかも知れません。

今のところ感染例が多発している地域は限られていますが、もし近隣で感染例が出ると、その地域では特に警戒モードとなります。

そうなると、通常の営業スタイルでは損失が大きくなってしまいます。早朝風呂で行われているような浴場エリア以外の営業休止、あるいは一部浴槽設備のみ提供といった縮小営業モードのやり方についても考えておく必要があるでしょう。

また、売上が減少しても固定費の支払いや借入返済は続きますので、資金繰り悪化の懸念も高まります。金融機関と事前相談して財務的な手当てをしておいた方が良いでしょう。

(2)自店に迫る危機
 全体的な売上減少だけではなく、自店に直接危機が迫ることもあり得ます。それは感染者の行動ルートに自店の利用があったことが分かった場合や、従業員に感染者が出た時です。

それが現状のように警戒感が強い時期であったら、事実を公表するかどうか、営業を自粛するかどうかといったことも難しい判断を迫られます。

愛知県の感染例で“屋内施設”という微妙な表現を使った報道がされていましたが、ネット上ではすぐにどの施設のことか特定されてしまったようです。そうなると「感染源」「汚染施設」といった風評につながりかねませんが、逆に公表を見合わせた場合、それが発覚すれば今度は「隠蔽」「人災」とバッシングされるかも知れません。

また、売上の大幅な減少や営業自粛などが長期化すると従業員の雇用維持やテナントの休業補償といった問題も出てきます。

少し想像しただけでもストレスを感じる苦しい事態ですが、このようなリスクも考えなくてはならないのです。

震災や水害のように施設の物理的な被害を伴わない分、かえって判断は難しく、答えはひとつとは限りませんが、経済的な問題ではありませんので、目先の損得勘定に囚われるとかえって問題が大きくなります。

危機にあたっては損得ではなく、人間性や良心に従うことが大切です。

(望月)

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