有料メルマガ「日刊アクトパスNEWS」会員の皆様
今日は 2020年1月17日です。
「入れ墨・タトゥーがある方の一律的な入浴制限を撤廃し、時代に合わせて施設ごとに新たに入浴ポリシーを定めましょう」という呼びかけに対して、多くのご賛同をいただきましてありがとうございます。
長年の懸案でしたが、この機に全国一斉に「いっせーのーせっ!」と変われるよう、引き続き各方面に働きかけてまいります。また進捗がありましたらご報告させていただきます。
ご賛同の表明につきましても引き続き募集しておりますので、よろしくお願いいたします。
◆テルマエ・ロマエが消えた理由
年明けのメルマガ第1150号で、「過去の歴史を振り返ると、本当にマーケットが激変してしまうのは、ネガティブな事件がきっかけであったことも少なくありません。」という一文を書きました。
私がそう考えるのは、2002年の宮崎県レジオネラ菌集団感染事事故、2006年の岩盤浴バッシング報道、2007年の渋谷区温泉爆発事故といった出来事が、マーケットの風向きを一変させてしまう歴史を目の当たりにしてきたからです。
レジオネラ菌や温泉ガスのリスクについては、法改正に至るほどの影響力がありましたし、岩盤浴バッシング報道は全国に2千店舗近くまで増えていた岩盤浴専門店をあっという間にほぼ消滅にまで追い込みました。
マーケットは、様々な要素が絡み合いながら少しずつ成長発展していくものですが、失速するときは突然やってくるのです。
漫画と映画「テルマエ・ロマエ」で有名になった古代ローマ風呂は、市民のための公衆浴場のルーツと言われています。テルマエ・ロマエの舞台となったハドリアヌス帝時代は西暦130年。以降、ローマ帝国の興隆とともに、ヨーロッパ各地にローマ式の公衆浴場が作られました。
ところが、15世紀末、このローマ式の公衆浴場は、ある日突然といった感じで姿を消してしまいます。それはローマ帝国の力が衰退したらではありません。
当時ヨーロッパでは新大陸の発見ブームに沸いていて、アメリカ大陸を発見したコロンブスは最大のヒーローでしたが、そのコロンブス一行がアメリカ大陸から“梅毒”というありがたくないお土産を持ち帰ったのです。
当時蔓延する梅毒の重要な感染ルートが公衆浴場なのではないかと疑われ、これを次々に廃止したのです。
本当は濡れ衣なのですが、梅毒の流行というネガティブな事件がローマ風呂を消滅寸前に追い込んでしまったのです。
しかし、何年経っても、科学や医学知識が発達したように見えても、人類のやっていることは昔とあまり変わらないようです。
開業したばかりで衛生管理に無知な施設がレジオネラ菌事故を起こしたり、一方着衣で横になるだけの岩盤浴に無菌に近いような衛生管理を求めて大騒ぎしたり、現代でも古代ローマ時代とやっていることは五十歩百歩な気がします。
そんな世の中ですから、衛生管理や事故防止には細心の注意が必要、といつも申し上げているのです。
(望月)